アニマルレスキュー

キタムラ家はアニマルレスキューの使命を担った家族だった。

 

飼っている動物(犬、ハムスター、軍鶏)がすべてレスキューされた動物だった。そのほか、鳥(ヒバリ、鴨、白鳥)などが飛来してくるのでレスキューして戻してあげた。名も知らない野鳥が家の中にやってきては仏壇の水を飲んで飛び去っていった。アオダイショウと猫もしょっちゅう寄ってくるから多分、我が家は彼らにとって家じゃなくて通り道だったのだと思う。

どんだけ田舎なのかと想像されるでしょうが、地方都市の飲み屋街にある小さな家で、目の前はバス通り、セブンまで徒歩1分なのでそんなに田舎でもない。

でも、獣道に家を建てちゃったんだと思う。

 

この使命は私が東京に出てきてからも続いた。

我が家の白猫もケガをしていた野良猫だったのでレスキューした。当時、練馬区は野良猫割引があったので、ケガの治療費を少し安くしてくれて嬉しかった。練馬区すてきタウン!

アオダイショウは相変わらず姿を見せてくれた。

東京の人たちはびっくりして、わざわざ通りすがりの私に「見て!見て!」と声をかけてきたけど、「アオダイショウは人の住んでいるところに何気にいますよ~」と、特に驚きはないんだな~。(でも最近アオダイショウのことを調べたら幼蛇はマムシのような柄で擬態をしているらしく、それがより怖がられるそう。これは見かけたら何としても助けてあげなければ!)

十日町の駅で蝙蝠をレスキューしたこともあったなあ。

駅員さんが「かわいい~♡」となでなでするので、蝙蝠がこわがっておしっこをしてしまった。蝙蝠を保護したら袋や布で包んであげると安心すると何かで読んだことがあったので、ビニールの袋に入れて人間が見えないようにしてあげた。

普段から動物ニュースを気にかけてて良かった。

 

あれからしばらくアニマルレスキューしてない気がしてたけど、最近、人間もアニマルではないか?と気が付いた。

 

だとすると、私がU字溝に落とし物をした子たちを助けたのは一連のアニマルレスキューのお仕事だったのだ。

過去3回、U字溝にモノ(お金、眼鏡のツル、自宅の鍵)を落とした子どもに出会い、すべて拾った。(その3回とも結構苦戦したので、いつU字溝にモノを落とした人に出くわしても良いように、常に針金を持ち歩くようになった。先日、スタジオ撮影で針金が必要になり、「あ、針金持ってますよ」と、針金を使ったところから、思い出してこの日記を書いている。)

認知症のお年寄りに話しかけらることも多いので、随分警察に連絡した。

高知県の山道を車で走っていた時、道の端にお年寄りが座り込んでいたから「すわ!迷い人?」と思い、慌てて引き返したところ、猿が人のように座り込んでいただけだった。わたしがガン見したからか猿はめっちゃ怒って去っていった。思うにあの猿は群れから離れて別の群れを探している猿だったんじゃないかと思う。猿は近親交配を避けるためにそういう行動を取ることがあると聞くので。だって座って黄昏ているように見えたんだよ!背中に哀愁を感じたんだよ・・・!

 

Suicaを落とすひとに出くわすことも多い。

自由が丘の駅の改札を出る瞬間、4つほど隣の改札に入った人がSuicaをタッチさせたあと、パスケースからSuicaを落としたのが見えたので、周りに恥ずかしくない声量で慎重に声をかけたら気づかれなかった。

そこで、少しずつ声量を上げて声をかけたところ、そのすぐ後に入った人が気が付いて拾ってくれ、わたしに向かって「僕が引き受けました!」とアイコンタクトをしてくれたので、わたしも思わず「任せた!」と、小さく頷いてみせた。その拾ってくれた人がめっちゃイケメンだったので、わたしの中では「イケメンは性格が良い」というのが定説となった。前からそうじゃないかと思っていたのが確信に変わった瞬間でもあった。

 

一人で美術館に行って、絵を見て笑っていると見知らぬイケメンから、「この絵のどこがおもしろいんですか?」と聞かれたことが2回あるんだけど、それが2回ともSuicaを拾ってくれたイケメンに似た雰囲気なんだよなあ。体が細くて顔が小さくて美形なの。きっと、愛されて育ったんだろうね。知らない人に面白さを尋ねられるなんて。

わたしはどちらも「え~~w~だって面白いじゃないですか?wwww」と答えるだけでがっかりさせちゃったんだろうな。語彙力足りなくてごめんね。

 

そうだそうだ!放火された家から人と動物を助けたこともあった。正確には放火された家は隣の家で、玄関に石油みたいなのが撒かれてて、そこから火が燃えていた。その火が古い木造建築のその家に燃え移っていたので、ドアを叩いて家の人を呼んだ。あれを見たから住居にするなら最新の防火性能を持った家が良いって信条を持つに至った。特に東京では。

 

はあ。ずいぶんとレスキューしてきたものだ。面白い経験だった。

わたしも随分落とし物して拾ってもらってきたし、考えようによっては前回の結婚も拾ってもらったようなものだし、お互い様なんでしょうけどね。

 

次回は私が想像して不安になっているレスキューについて書きます。